歴史は史料とともにある
歴史は史料とともにある
高山慶子(たかやまけいこ) 宇都宮大共同教育学部准教授 とちぎ史料ネット代表
親友が届けてくれた昭和初期の播種機と、農水省の農機具データベース(AgriKnowledge)に登録されている播種機が同じメーカーの同じ仕様のものであることがわかりました。2023.12.4
★歴史は史料とともにある NO.1です
★歴史は史料とともにある NO.2⇒酒樽 特大 相州小八幡 相の松 A352
◇農水省の農機具データベースに登録されている播種機の写真

問い合わせていた農水省から現物の写真とともに回答をいただきました。2023.12.4
本体に貼られている商品名や使用法の内容が同じです。(下の写真2枚)
◇歴史史料 2023.11.16
昭和初期の播種機(はしゅき)を、親友Y君がわざわざ届けてくれました。史料として遺したいと思います。

届けてもらった「いのせ式播種機(はしゅき)」
貼られている説明書はカタカナ文で書かれています。昭和初期のものと考えられます。
🔸歴史は史料とともにある(続き)
建造物であれ、文字で書かれた記録類であれ、当時の人々の生きた痕跡、つまり史料があるから、歴史を知ることができる。
人は世代が入れ替わり、建造物は老朽化する。何から何まで、すべての痕跡を飼料として遺すことは、不可能と言わなければならない。それでも残す、遺すべきものは遺す、つまりは史料を守る。そして、その史料に私たちが関心を向けることで、歴史は明らかになる。(2023.11.12下野新聞「日曜論壇」より)

播種機に貼られている使用法
栃木県氏家町 猪瀬農具製作所 電話一三八番
播種機に貼られている使用法全文 2台の播種機の説明書から読み取りました
氏家町(現在のさくら市)は当館のすぐ近くです。この播種機をわざわざ届けてくれたY君の隣町です。この時代は物流が発展していません。こうした大型の農具は、各地で生産販売されていたと考えられます。
その後、農水省の農機具データベースで、同じ播種機が兵庫県出石町で収集されていたことがわかりました。製造地の栃木県から兵庫県まで搬送されていました。
農林省懸賞募集入賞機

種は2条に落ちるようになっています。

◇農林水産省の農機具データベースに類似の播種機が掲載されています。(左の写真)
⇒農機具データベース(農林水産技術会議事務局筑波産学連携支援センター)
資料番号685 使用年代:昭和30年代
収集地:兵庫県出石町
解説文:稲・麦などの直播栽培に使用する。木製の手押し式1条播種機※である。昭和30年代に兵庫県で使用されていた。高さ:125cm、幅:20cm、奥行き:43cm、重量:4kg
※箱ノ裏側ノ鐡板ヲ前後スルコトニヨリ二條蒔キ三條蒔キガ自由自在ニデキマス と説明書に記載がありました。

右は、当館で保管していた同じ時代のニチリン号播種機

ニチリン号播種機
東京農機が製造した手押し式の播種機
いのせ式播種機より一回り小さいです。
こちらも当地で使用されていました。
史料として一緒に遺しておきます。
農機具データベースとは
農林水産省では昭和55年度より「農林業技術発達関係資料調査収集事業」を実施し、明治時代から100年余りの間に使用された農具類、民具類、写真など約3,800点を収集し、「写真でみる農具民具」および「農林業技術発達関係資料調査収集事業資料目録(古民具・民具等)」として取りまとめました。
収集した情報は農林業技術開発の原点と言えるものであり、これらを起点として様々な農林業技術が生まれてきました。
農機具データベースは、これら貴重な資料を多くの方にご利用頂けるようデータベース化したものです。
出典:AGROPEDIA(アグロペディア)
AGROPEDIA:農林水産研究に役立つ文献情報、論文アーカイブ、研究関連情報等を総合的に提供するサイトの名称。⇒AGROPEDIA
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