変体仮名

変体仮名

現行の仮名の「あ」は一つですが、明治時代、小学校が設置された当初は、「あ」にも複数の仮名がありました。こられを変体仮名と呼びます。

仮名は、漢字の草書体(そうしょたい=早く書けるように文字の一部を省略したもの=崩し文字)がもとになって生まれました。
平安時代からいろいろな仮名が使われてきました。字体が異なる平仮名を同時に使いこなして、物語や歌などに味わいを出していました。

◇主要変体仮名
 仮名のもとになった漢字を母字と言います。母字の崩し字が仮名となっていますが、同じ母字でも崩し方によって仮名の形が変わっています。

古文書を読むには、変体仮名はもちろん漢字の崩し字も読み解く必要があります。私は参考書で独学で勉強中ですが様々な崩し字がありなかなか難しいです。
主要変体仮名


変体仮名一覧
変体仮名一覧
この一覧の中には、江戸時代の寺子屋で使われた平仮名手本「いろは覚」の字がすべて含まれています。この一覧の変体仮名を覚えれば古文書の仮名はほぼ読めるようになります。

出典:「入門 日本語の くずし字が読める本」角田恵理子著

江戸時代の寺子屋で使われた平仮名手本「いろは覚」

 江戸時代、寺小屋では読み書きを教えました。いろはや数字、地名、証文、漢籍などの知識を繰り返し音読し、基本の文字を修得させたといいます。
江戸時代の寺子屋で使われた平仮名手本「いろは覚」 1 江戸時代の寺子屋で使われた平仮名手本「いろは覚」 2
いろはにほへと ちりぬるを わかよたれそ つねならむ うゐのおくやま けふこえて あさきゆめみし 
ゑひもせすん(色は匂へど 散りぬるを 我が世誰そ 常ならむ 有為の奥山 今日越えて 浅き夢見じ 酔ひもせず)
         江戸時代の寺子屋で使われた平仮名手本「いろは覚」


◇崩し字と変体仮名 百人一首

崩し字と変体仮名 百人一首


 散らし書きです。
  左上から右下へ読む
  型になっています。


 春すぎて夏
  きにけらし
   白たえの
 衣ほすてふ
  あまのかぐ山

 百人一首
  持統天皇(女帝)の歌
   石井行宣の書
   (江戸後期の公卿)

◇仮名の統一
明治33年(1900)年、帝国教育会国語改良部が「同音ノ仮名ニ数種アルヲ各一様ニ限ルコト(即チ変体仮名ヲ廃スルコト)」を議決しました。
小学校令改正の改正、小学校施行規則が施行され、小学校で教えられる仮名の字体が現行の一字体に統一されました。
   ⇒統一された現在の仮名


カタカナについて

一方、カタカナ(片仮名)の歴史も古く、学僧たちが漢文を和読するために用いられたといいます。
僧侶や武士などに漢字の音や和訓を注記するために使われることが多く、漢字仮名交り文などに用いられました。

カタカナも平仮名と同じく漢字がもとになっています。
ひらがなが漢字の草書体から出来ましたが、カタカナは漢字の文字の一部を取り出したものから出来ている点が違います。

使用範囲は広がりましたが、平仮名で書かれたものには美的な価値があり鑑賞されてきましたが、カタカナは、記号的・符号的性格が強いものでした。
現代のカタカナ

現代のカタカナ(片仮名)も、平仮名と同じく明治33年(1900年)の小学校令施行規則で一音一字の原則に従い一つの字体に統一されました。

平仮名に比べ学問的傾向が強いため、戦前の日本ではより正式な文字とみなされ、法令全書その他の公文書で用いられました。教育面でも平仮名に先行して教えられました。

さらに詳しく⇒カタカナについて

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