雑誌『人間』

雑誌『人間』

雑誌『人間』太宰治「父」掲載 昭和22年2月号1
 太宰治「父」掲載 昭和22年2月号1

雑誌『人間』太宰治「父」掲載 昭和22年2月号2

雑誌『人間』太宰治「父」掲載 昭和22年2月号3

『人間』太宰治「父」掲載 昭和22年2月号4
  
    ¥3,500. 昭和22年2月号
96ページ。   痛み、汚れ、黄ばみがあります。

◆その一節です。
 午後三時か四時頃、私は仕事に一区切りをつけて立ち上る。机の引出しから財布を取り出し、内容をちらと調べて懐ふところにいれ、黙って二重廻しを羽織って、外に出る。外では、子供たちが遊んでいる。その子供たちの中に、私の子もいる。私の子は遊びをやめて、私のほうに真正面向いて、私の顔を仰ぎ見る。私も、子の顔を見下す。共に無言である。たまに私は、袂たもとからハンケチを出して、きゅっと子の洟はなを拭いてやる事もある。そうして、さっさと私は歩く。子供のおやつ、子供のおもちゃ、子供の着物、子供の靴、いろいろ買わなければならぬお金を、一夜のうちに紙屑かみくずの如く浪費すべき場所に向って、さっさと歩く。これがすなわち、私の子わかれの場なのである。出掛けたらさいご、二日も三日も帰らない事がある。父はどこかで、義のために遊んでいる。地獄の思いで遊んでいる。いのちを賭かけて遊んでいる。母は観念して、下の子を背負い、上の子の手を引き、古本屋に本を売りに出掛ける。父は母にお金を置いて行かないから。

雑誌『人間』
1945年12月20日、川端康成と久米正雄により創刊されました。

鎌倉文庫発行の文藝誌で、敗戦後の日本文学界の一時期を風靡しました。
これはその第四号です。

a:635 t:2 y:1

powered by Quick Homepage Maker 5.3
based on PukiWiki 1.4.7 License is GPL. QHM

最新の更新 RSS  Valid XHTML 1.0 Transitional