篠崎インキの歴史

篠崎インキの歴史

・1884(明治17)年、篠崎叉兵衛商店として創業。

・1918(大正7)年、合名会社篠崎商店に。

合名会社篠崎インキの定價表





1919(大正9)年参月二十五日付の合名会社篠崎インキの定價表の住所は、東京市日本橋区馬喰町となっています。

・1919(大正9)年、篠崎インキ製造株式会社となる。
  本社(本社営業所及本工場)は東京市本所區(現在の東京都墨田区緑町)

 筆記用の「チャムピオンインキ」が主体で、業界では他社を圧倒し続けていたが、1923(大正12)年の関東大震災の前後から売り上げが低下。シェアをライバルの万年筆用インクに押されたため、万年筆用の「アカデミーインキ」「Right Ink(ライトインキ)」を開発し主力商品とした。
ライトインキのマッチ箱広告
  ライトインキのマッチ箱広告“文化はライトの一滴より生れる”
広告デザインはシンプルながらも時世に合わせたコピーを用い、また、レイアウトや商標のバナーも毎回変更するなど考えられたものになっている。

・1930(昭和5)年、優良とされる国産品種に選定される。
大阪毎日新聞1930年8月14日
          1930(昭和5)年8月14日の大阪毎日新聞
化學製品・筆記用インキの部門で、丸善株式會社(東京市)、小倉化學工業所(大阪市)とともに選定されています。

ボトルインキ小瓶5社5個セット B29

年代は不明ですが、小倉化學工業所ボントンインキです。
OGURA CHEMICAL INDUSTRIAL 大阪市旭区今津町にありましたが現在は確認できません。
     ボトルインキ小瓶5社5個セット B29

・1933(昭和8)年、関西圏に販路をもとめ、大阪市東区淡路町の「八百屋町(やおやまち)筋」に篠崎インキ西部販売所を設立。

万年筆用ライトインキの広告

 1936(昭和11)年
 万年筆用インクの広告

 ⇒ライトインキ RIGHT INK 青黒 B123
 ⇒ライトインキ ブルーブラック 30cc B118
 ⇒ライトインキ漆器盆(篠崎インキ販促品) A112

壱銭五厘のはがき
 チャンピオンインキの広告(下の写真)が印刷されたはがき
  大正時代と思われる『壱銭五厘』の『郵便はがき』です。この時代地区名や番地を書かなくても配達されていました。東京市の書店から秋田懸増田市に宛てられました。
『壱銭五厘』の『郵便はがき』の時代は、明治32年4月1日から『大正12年4月1日』迄長年にわたりました。

大正時代 『壱銭五厘』の『郵便はがき』
 吉祥寺の書店から送られました。「拝啓 貴家益々御清栄之段・・・」
 
チャンピオンインキのマッチラベル ライトインキとのマッチラベル
 チャンピオンインキとライトインキとのマッチラベル
  篠崎インキは様々な広告媒体を利用していました。

ライトインキ特賣品の宣伝カード1
 昭和10年7月1日締め切りの景品付ライトインキ特賣品の宣伝カード(11.6×19.センチ)

ライトインキ特賣品の宣伝カード2

ライトインキ特賣品の宣伝カード3

ライトインキ宣伝用絵葉書
 ライトインキ宣伝用絵葉書

・1939(昭和14)年、篠崎インキ製造株式会社の篠崎又兵衛が「インキ読本」を編集・出版。
 国立国会図書館に保管されています。(最後尾参照

・1941(昭和16)年、創業者の篠崎又兵衛死去。

・1945(昭和20)年、3月の東京大空襲で本所工場焼失。
 婿養子が工場再建。篠崎又兵衛には2人の娘しかおらず後継者は2人の婿養子。

ライトインキ RIGHT INK 青黒 小瓶/大瓶 B32a/b
 戦後まもなくのころに製造販売されたライトインキ RIGHT INK 青黒 B123

・昭和22年、婿養子夫妻の子供の不倫騒ぎ(このお子さんの嫁は中堅守谷商会の創業者の孫)。

・1952(昭和27)年11月9日の読売新聞
 ”老舗ライトインキの社長一族が失踪”の記事。
 「ライトインキ」の商標で知られる篠崎インキ製造株式会社の社長夫妻と長男が相前後して失踪した、という内容。
・1952(昭和27)年11月12日の読売新聞に続報が載る。
 ”社長の死体上る”。水死体が発見された。経営不振に陥っていたことが報じられる。
 
会社清算。事業はライオン事務機へ売却される。その際、今あるライトがライトブランド継承する。経緯は不明。

国会図書館に保管されている「インキ読本」
  本文は公開されていません。インキの歴史や種類、製法、原料などがわかりますので一度閲覧したいと思っています。
タイトル  インキ読本
著者    篠崎インキ製造株式会社 編
出版者   篠崎インキ製造
出版年月日 昭14

[目次]
インキ讀本
目次
第一章 總論 / 1
第二章 世界に於ける文字と書寫の方法 / 3
第一節 思想の發表と文字の發達 / 3
第二節 古代に於ける書寫の方法 / 9
第三章 世界に於ける筆記用インキの發明と進步 / 12
第一節 インキの種類 / 12
第二節 インキの本源と墨 / 14
第三節 ブリウブラックインキの發明と色インキ / 18
第四節 ペンの發明とインキの普及 / 20
第五節 日本に於けるインキの普及 / 22
第六節 沒食子鐵インキ / 23
一、 槪論 / 23
二、 單仁酸 / 24
三、 沒食子 / 25
四、 ガロタンニン酸 / 29
五、 沒食子酸 / 29
六、 鐵鹽 / 29
七、 色素 / 30
a、 ログード / 30
b、 藍 / 31
c、 アニリンブリウ / 32
八、 沒食子鐵インキの製造法 / 32
1、 沒食子と綠礬との混合の割合 / 33
2、 インキの濃度 / 33
3、 酸の量 / 33
4、 防腐劑 / 34
5、 インキ製造の難易 / 34
第七節 インキの化學 / 34
一、 インキの固定作用 / 34
二、 鐵鹽と單仁酸との化合物 / 35
三、 膠質化學から見たインキ / 35
四、 インキの溶液とブラウン運動 / 37
第八節 インキの要素と生命 / 38
一、 善良なる沒食子鐵インキの要素 / 38
二、 簡單に萬年筆用インキを鑑識する方法 / 39
三、 インキ使用上の注意 / 41
四、 數十百年を經過したインキの筆記物 / 42
五、 インキの氷結に就て / 42
第九節 色インキ / 43
第十節 證券用安全インキ / 44
一、 證券用安全インキ發明の動機と苦心 / 44
ブリウブラックインキの缺點 / 44
證券用安全インキの發明 / 45
二、 證券用安全インキの特徴 / 47
三、 本發明の社會に及ぼせる效果 / 51
第十一節 朱墨液 / 52
第十二節 ログードインキ / 52
第十三節 インキ末とインキ錠 / 52
第四章 複寫用インキ / 53
第一節 複寫用インキ / 53
第二節 コンニャク版用及粘土版用インキ / 54
一、 コンニャク版の製法 / 54
二、 インキの製造 / 54
三、 複寫の方法 / 55
第五章 印捺及記號用インキ / 55
第一節 スタンプインキ / 55
第二節 メタルスタンプインキ / 56
第三節 度器檢定用スタンプインキ / 56
第四節 モールスインキ / 57
第五節 自記計機用インキ / 57
第六節 記號用インキ(洗濯用) / 57
第六章 製圖用及修整用インキ / 58
第一節 製圖用インキ / 58
第二節 靑寫眞修整用インキ / 58
第七章 特殊インキ及アラビヤ糊 / 59
第一節 スノーホワイトインキ / 59
第二節 セルロイド用インキ / 59
第三節 名宛印刷機用インキ / 59
第四節 靑果檢定用インキ / 60
第五節 屠肉檢定用インキ / 60
第六節 隱顯インキ / 60
第七節 アラビヤゴム糊 / 61
第九章 文化の進展と我社の使命 / 62
 「国立国会図書館デジタルコレクション」より

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