『展望』昭和23年6,7,8月号 太宰治「人間失格」

『展望』昭和23年6,7,8月号 太宰治「人間失格」

『展望』昭和23年6,7,8月号 太宰治「人間失格」1
     ¥16,500(3冊揃い) 売切れ
「人間失格」は、『展望』の6,7,8月号の3回にわたり掲載されました。
昭和23年7月に筑摩書房から「人間失格」初版が発行されました。

太宰治は「人間失格」を昭和23年(1948年)3月から書き始め、5月12日に脱稿しました。そして、その1ヶ月後の6月13日に山崎富栄と玉川上水で入水自殺しました。

『展望』昭和23年6,7,8月号 太宰治「人間失格」2
 強いヤケ、小キズがあります。

『展望』昭和23年6,7,8月号 太宰治「人間失格」3

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『展望』昭和23年6,7,8月号 太宰治「人間失格」8

◇6月号「編集後記」より  上の写真
太宰治氏の『人間失格』は向ふ三カ月連載することになってゐる。『冬の花火』、『ヴィヨンの妻』とつねに自信作をのみ本誌に寄せられた作者が、決然世に問ふ本篇は、太宰文學のおそらく一ばん高い峯を示すものになろだらうと信ずる。敗戦後の現實のなかにあってこの作家の文學がどのやうな、なまなましい光芒を放ってゐるかはだれでも知ってゐるが、本篇ほど自己を吐露しつくしたことはなかったであらう。

『展望』昭和23年6,7,8月号 太宰治「人間失格」9

◇8月号「編集後記」より 上の写真
自身の文學の最高峯を示す自晝像「人間失格」を本誌のために書かれたまま、忽然世を去った太宰氏を追悼して、「太宰治論」を掲載した。現代の日本文學からこの一つの星の消え去ったことはかぎりない寂寥を覺えさせずにはおかない。御冥福を祈る。

『展望』昭和23年6,7,8月号 太宰治「人間失格」10
 8月号に掲載された臼井吉見の「太宰治論」
  13~28ページの16ページです。8月号の4分の1を占めています。
  人間失格第3回は、35~49ページ(15ページ)

『展望』昭和23年6,7,8月号 太宰治「人間失格」11
連載第1回の6月号は、「私は、その男の写真を三葉、見たことがある。」というはしがきから始まり、「第一の手記」「第二の手記」と続きます。

「人間失格」の冒頭
はしがき

 私は、その男の写真を三葉、見たことがある。
 一葉は、その男の、幼年時代、とでも言うべきであろうか、十歳前後かと推定される頃の写真であって、その子供が大勢の女のひとに取りかこまれ、(それは、その子供の姉たち、妹たち、それから、従姉妹(いとこ)たちかと想像される)庭園の池のほとりに、荒い縞の袴(はかま)をはいて立ち、首を三十度ほど左に傾け、醜く笑っている写真である。醜く? けれども、鈍い人たち(つまり、美醜などに関心を持たぬ人たち)は、面白くも何とも無いような顔をして、
「可愛い坊ちゃんですね」
 といい加減なお世辞を言っても、まんざら空(から)お世辞に聞えないくらいの、謂(い)わば通俗の「可愛らしさ」みたいな影もその子供の笑顔に無いわけではないのだが、しかし、いささかでも、美醜に就いての訓練を経て来たひとなら、ひとめ見てすぐ、
「なんて、いやな子供だ」
 と頗(すこぶ)る不快そうに呟(つぶや)き、毛虫でも払いのける時のような手つきで、その写真をほうり投げるかも知れない。
 まったく、その子供の笑顔は、よく見れば見るほど、何とも知れず、イヤな薄気味悪いものが感ぜられて来る。・・・・・・

     ⇒ 人間失格全文

『展望』昭和23年6,7,8月号 太宰治「人間失格」12
 連載第2回7月号 「第三の手記 一」
 
『展望』昭和23年6,7,8月号 太宰治「人間失格」13
 連載第3回7月号 「第三の手記 二」

◇あとがきの最後(小説人間失格の最後)
「私たちの知っている葉ちゃんは、とても素直で、よく気がきいて、あれでお酒さえ飲まなければ、いいえ、飲んでも、……神様みたいないい子でした」
 (主人公の大庭葉蔵を知る船橋市の喫茶店のマダム)

 
『展望』昭和23年6,7,8月号 太宰治「人間失格」14

『展望』は、昭和21(1946)年1月から筑摩書房から発行された総合月刊誌です。
6、7月号は63ページあり定価30円と印刷されています。8月号は同じページ数で定価35円です。

昭和23年 1月の上旬に太宰は喀血します。3月から山﨑富栄に付き添われ、栄養剤を注射しながら5月にかけて「人間失格」を執筆しました。

一方、「如是我聞」で志賀直哉ら文壇批判をします。疲労はなはだしく、不眠症もつのり、しばしば喀血します。
そして、6月13日深更、「グッド・バイ」の草稿、遺書数通などを残し、 富栄と共に玉川上水に入水しました。39歳でした。
 山﨑富栄
  山﨑富栄

人間失格の簡単なあらすじ
作者(書き手)が、「はしがき」と「あとがき」を書き、間に葉造の第一、第二、第三の手記を挟んでいる構成です。

「人間失格」は、大庭葉蔵という1人の青年の破滅的な人生を、彼自身の手による手記で読むという体裁の作品です。

ある人物が偶然、葉蔵の手記と写真を入手し、それを公開したという設定になっています。

主人公の葉蔵は裕福な家庭と類まれな美貌に恵まれましたが、他人の感情を理解できないことから、極度に人間を恐れて育ちます。

成長した葉蔵は、その恐怖を紛らわせるために酒を飲み、数々の女性と関係を持ってはヒモ同然の生活を送るようになりますが、根強い人間恐怖が原因となり、その誰とも関係は長続きしませんでした。

やがて麻薬にも溺れ、金も底を尽き、絶望した葉蔵は自殺を企てるも死には至らず、脳病院へ収容されます。

病院に隔離された葉蔵は、社会から狂人扱いされた自分は人間失格であり、人間ではないのだと考えました。

その後、病院を出た葉蔵が故郷に戻り、27歳でありながら40歳以上に見えるほどに老けこみ、ただ無為に時間を過ごしていることを告白して手記は終わります。

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